厚板の板金加工機械と、そのCAD/CAM −SYSCOP 知識情報−
はじめに

従来、機械加工で行ってきた加工を、塑性加工に置き換えることができれば生産性が大きく向上する。 日本国内では薄板の塑性加工については多品種少量生産のための多くの加工機械やシステムが開発されてきたが、厚板分野の加工機械は見当たらなかった。 各社から発売されているNCタレットパンチプレス(NCTPP)は、薄板については多品種少量生産の花形的役割を担っているものの、 実際のワーク板厚は10mm以内に限定された加工機械といえる。しかし、ワークの板厚が厚くても塑性加工が可能である場合、工場経営者のメリットは大きい。 ここでは、鋼板厚40mmまでをターゲットにしたパンチングプレスと、それを有効に活用するCAD/CAM化の事例について紹介する。


GEKA社製パンチングプレス


図1.加工機械の概要
CAM
図3.加工機ボディー構造
CAM GEKAは“ジェカ”と発音し、スペインの加工機メーカーである。 板厚が最大40mmのワークを従来のNCTPPと同様に加工できる。 国内メーカーのNCTPPであれば板厚10mm以下の抜きでも100デシベルを超える騒音が発生する。 これと同じ方式で厚板の抜きを行えば爆発的な騒音が発生することになるので、厚板用のNCTPPの商品化は困難であるがGEKAはこの点を克服している。(図1) 従来の抜き加工であれば発生するはずの大音響と振動は、ほとんど発生しない。 油圧機構によってプレス・ストローク速度が微妙にコントロールされていること、及び金型のパンチ先端に突起が存在し加工直前にワークに押し込むことなどがその理由としてあげられる。(図2) プレス機械のユーザーの間では、油圧制御機構の加工機械は調整が困難で、トラブル発生時にもその対策に時間を要するといわれてきた。 しかし、近年の機械技術の進歩は、機械式、油圧式の運用の違いを意識させないものにしている。 また同機は50トンから最大200トン程度の加圧能力でありながら、 厚板の追い抜きでさえ可能で、ボディーも小型である。 これらは、プレスボディーの剛性が高いことによるものと思われる。(図3)


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Last Updated - 98/07/23