ノイズ対策委員会



ノイズ対策指針




■ ケーブルのシールドに頼ってはいけない



LANの工事などでトラブルに遭遇した場合、一般的には高価なケーブルを用いれば、

ノイズ対策になると考えがちです。 高価なケーブルには、アルミ箔などを巻き付

けたシールドがなされている場合があり、説明書等にノイズ対策が十分になされて

いると書いてあるからです。 しかし経験から言って強力なシールドを行ってある

ケーブルを用いても、完全にノイズを阻止することは困難な場合が多いのです。 

シールドで阻止できるのは、せいぜいノイズの何割かで、他の対策が有効な場合が

多いのです。経験から言えることは、



                    電磁波の発生源からケーブルを離す



これにまさる対策はありません。

電磁波の強さは距離の二乗に反比例するので数センチ離しただけで大きな

効果が得られます。 豪華なシールド処理を施してあるケーブルは、値段が高く、

太く、重量が重いわりには効果が期待できない場合が多いと考えます。参考までに

頻繁に使用するケーブルの映像電送能力の比較表を掲載します。



50mガウスのなかでBNC映像(アナログビデオ映像)をトランスで変換し各種ケーブルで電送した結果。



 

芯線太さ

シールド

著しくノイズを拾う長さ

電話用ツイストペア線

Φ 0.2

なし

11m

LAN用ツイストペア線

Φ 0.5

なし

13m

インターホン・ケーブル

Φ 0.65

なし

19m

シールド・ツイストペア

Φ 0.65

アルミ箔シールド

31m

パソコン用信号キャプタイヤ

Φ 0.65

あみ線シールド

36m

3C同軸線

Φ 0.65

アルミ箔シールド

29m

上記はSYSCOP社内の実験データであり、あくまで参考値です。




■ 電磁波との共存を考えるのが得策



多くの場合、電磁波の発生源がわかっても、これを抑えることができないものです。

たとえば、新型のコンピュータシステムを導入する時に、旧式のエアコンを撤去するよう

な事をユーザーには言いにくいでしょうし、大きな電磁波の発生源となる装置にかぎって

高価であることが多いのも事実です。やはり、装置のレイアウトなどを行う際に十分に電

磁波、ノイズ対策を考慮に入れて、周辺機器との共存を考える事が得策といえます。



■ これからのノイズ対策



コンピュータシステムの動作速度は1秒間に1億回を超え、ますます高速化される傾向に

あります。  クロックが高速化すれば、それだけ動作が不安定になり、自分自身がノイズ

を発生しやすくなるとともに、外界からのノイズの影響も受け易くなります。  電磁妨害

(EMI;Electromagnetic Interference)の規制はIEC(国際電気標準会議)の特別委員会で

あるCISPR(国際無線障害特別委員会)による規格があり、日本ではVCCI、電波法、電気用

品取締法などで、高速化に対応した新基準が設けられることになりますが、より精密なノ

イズ対策技術が必要であることはのべるまでもありません。しかし、一般的にはこれらの

対策についての意識が乏しく、ユーザーに何の対応策もないのが実状です。

今後はメーカー側がたとえがんばってノイズ対策を行っても、動作保証できないような環

境が増加することは必至です。そのために、システム屋はソフト・ハードの知識とともに

ノイズ対策技術も必修の技術という事になるでしょう。ソフト屋は、これまでのようにハ

ードウエアに頼るのではなく、例えばノイズを考慮に入れたソフトウエアの開発技術等も

登場する事でしょう。


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Last Updated - 99/06/09